ファイルサイズ増加とVPNボトルネックへの3つの対策
VPN接続の帯域不足を解消し、スループットを最大50Gbpsまで拡張する方法
追加VPNトンネル作成
各オフィスからTransit Gatewayへ
複数のVPN接続を追加
ECMP有効化
等コストマルチパスで
トラフィックを分散
VPNアクセラレーション
Global Accelerator統合で
レイテンシ削減・品質向上
🏎️ 高速道路のたとえで理解しよう!
🚗 問題:渋滞する1車線道路
オフィス(地方都市)からAWSクラウド(大都市)への データ転送は、1本のVPNトンネル(1車線の一般道)で行っています。
ファイルサイズが大きくなると、この1車線では車(データ)が大渋滞。 転送に時間がかかり、業務に支障が出ます。
🛣️ 解決:複数車線の高速道路
Transit Gatewayは巨大なインターチェンジ。 ここに複数のVPNトンネル(複数車線の高速道路)を接続します。
ECMPは「どの車線が空いているか」を自動判断する スマート信号機。車を均等に振り分けて渋滞解消!
😰 よくある問題
- 大容量ファイルの転送が遅い
- VPN帯域が1.25Gbpsで頭打ち
- 複数拠点からの同時アクセスで輻輳
- インターネット経由で遅延が大きい
- VPN接続が不安定になることがある
🎉 Transit Gateway + ECMPで解決!
- 複数トンネルで帯域を50Gbpsまで拡張
- ECMPで自動的に負荷分散
- 拠点追加も簡単にスケール
- アクセラレーションでレイテンシ50%削減
- 冗長構成で高可用性を確保
🏗️ アーキテクチャ全体像
本社オフィス
支社オフィス
Transit Gateway
本番 VPC
開発 VPC
📊 各VPN接続は2本のトンネルを持ち、ECMPで自動負荷分散されます
📋 スループット拡張の3ステップ
追加VPNトンネルを作成
各オフィスからTransit Gatewayへ、 追加のSite-to-Site VPN接続を作成します。
🔧 作業内容
- Customer Gatewayを追加作成(必要に応じて)
- 新規VPN接続をTGWにアタッチ
- BGPを設定(AS番号の統一)
- オンプレミス側ルーターの設定更新
ECMPルーティングを有効化
Transit Gatewayで等コストマルチパス(ECMP)を 有効にし、複数トンネルに自動分散します。
⚙️ 設定ポイント
- TGWでVPN ECMP supportを有効化
- 同一プレフィックスを各VPNでアドバタイズ
- AS_PATH長を同一に設定
- MEDを同一に設定(または無視設定)
VPNアクセラレーションに置き換え
既存VPNをアクセラレーション対応の 新規VPNに段階的に移行します。
⚡ 移行手順
- アクセラレーション有効で新VPN作成
- Global Acceleratorエンドポイント確認
- オンプレ側を新エンドポイントに向ける
- 動作確認後、旧VPNを削除
⚖️ ECMPとは?Equal Cost Multi-Path 完全解説
🎯 ECMPの仕組み
ECMP(Equal Cost Multi-Path)は、 同じ宛先への複数の等コスト経路がある場合に、 トラフィックを自動的に分散するルーティング技術です。
Transit Gatewayでは、VPN ECMPを有効にすることで、 複数のVPNトンネル間でトラフィックを均等に分散できます。
📝 ECMP有効化の条件
ECMPが正しく動作するには、以下の条件を すべて満たす必要があります:
各VPNから同じネットワーク範囲(例:10.0.0.0/16)をアドバタイズ
BGPパス属性のAS_PATH長が同じであること
Multi-Exit Discriminatorが同一、または比較を無効化
📊 Transit Gateway VPN クォータ一覧
| 項目 | デフォルト値 | 最大値 | 備考 |
|---|---|---|---|
| TGWあたりのVPNアタッチメント数 | 5,000 | 5,000 | 上限引き上げ不可 |
| VPN接続あたりの帯域幅 | 1.25 Gbps | 1.25 Gbps | ECMPで複数接続を束ねて拡張 |
| ECMPでの集約帯域幅 | 50 Gbps | 50 Gbps | VPN ECMP有効時 |
| VPN接続あたりのトンネル数 | 2 | 2 | Active/Active または Active/Standby |
| トンネルあたりの最大パケット/秒 | 140,000 | 140,000 | 小さいパケットでは帯域より先に上限 |
⚡ VPNアクセラレーション:通常 vs 有効時
標準 Site-to-Site VPN
インターネット
- パブリックインターネット経由で接続
- 経路が毎回異なる可能性
- ジッターが発生しやすい
- 追加料金なし
Accelerated Site-to-Site VPN
グローバルネットワーク
- 最寄りのAWSエッジロケーションに接続
- AWSバックボーンネットワーク経由
- 安定した低レイテンシ
- Global Accelerator料金が追加
🛠️ 実装手順:アクセラレーションVPNへの移行
アクセラレーション有効の新規VPN接続を作成
既存のTransit GatewayとCustomer Gatewayを使用して、 アクセラレーションを有効にした新しいVPN接続を作成します。
Global Acceleratorエンドポイントを確認
新しいVPN接続には、通常のVPNエンドポイントではなく、 Global Acceleratorの固定IPアドレスが割り当てられます。
オンプレミス側ルーターの設定を更新
Customer Gatewayデバイスの設定を、新しいGlobal Accelerator エンドポイントに向けて更新します。設定ファイルをダウンロードして適用。
動作確認とトラフィック移行
BGPセッションが確立し、ECMPで新旧VPNにトラフィックが分散されることを確認。 問題なければ旧VPN接続を削除します。
⚠️ 実装時の注意点
追加コストの考慮
アクセラレーションVPNはGlobal Accelerator料金が追加されます。 VPN接続時間とデータ転送量に基づく課金が発生。
既存VPNの移行不可
既存のVPN接続でアクセラレーションを後から有効化することは できません。新規作成が必要です。
リージョン制限
アクセラレーションVPNはすべてのリージョンで利用可能ですが、 エッジロケーションの位置により効果が異なります。
フロー単位の分散
ECMPはフロー(5タプル)単位で分散されるため、 単一の大容量転送は1トンネルの帯域に制限されます。
🎯 まとめ
複数VPNトンネル
1本1.25Gbpsの制限を
複数接続で突破
最大50Gbpsまで拡張可能
ECMP有効化
Transit Gatewayで
自動負荷分散を実現
同一プレフィックス・AS_PATHが条件
アクセラレーション
AWSグローバルネットワークで
レイテンシ最大60%削減
安定した接続品質を実現
🚀 高帯域 + 低遅延 = 複数VPN × ECMP × アクセラレーション